こんなお悩みはありませんか?
- 土地をいくつか所有しているが、この先、自らが認知症等になった場合でも、この土地を有効活用していきたい。
- 自分が認知症棟になって、施設に移るときの入居費用に、不動産売却代金を充当してほしい。
- 共有者農地の1人が認知症等になった場合に、「速やかに売却できない」といったリスクを回避しておきたい。
- 自分の相続の際の承継先だけではなく、その先(2次相続、3次相続等)の相続の際の承継先も、今のうちに決めておきたい。
土地や建物を所有し、その不動産を賃貸に出して収益を得ている地主、家主の方々は、その管理、運営、承継のために、不動産の賃貸借契約や売買契約、あるいは建物建築、建物修繕のための工事請負契約などを行う必要が出てきます。
また、不動産を賃貸に出さずに自らの居住用に使用している場合であったとしても、その建物の修繕が必要になれば、修繕のための工事請負契約をする必要があるし、あるいは、その不動産を誰かに引き継ごうと考えたら、売買契約等の契約を行う必要が生じてきます。
しかしながら、地主、家主の方が高齢になり、認知症等の理由で意思能力が低下してしまった場合、それらの契約行為を有効に行うことが困難となります。
当事務所では、そのような事態を避け、地主、家主の方々の意向に即して、不動産の管理、承継を的確に果たすための制度して、民事信託を活用した最適なスキームをご提案します。
Aさん(80歳)は、広島県に所在する不動産(土地・建物)を単独所有しており、同不動産に妻であるBさん(78歳)と共に居住しています。対して、長男であるCさん(50歳)は、既に結婚し、大阪に居住しています。
Cさんは、Aさん及びBさんが高齢になったことに伴い、Aさん、Bさんにも自分が住んでいる大阪で居住してもらうことを希望していますが、Cさんは大阪で自宅を購入し、妻子らと生活していたので、Cさんの自宅でAさん、Bさんと暮らすことは困難です。
そこで、Cさんは、自宅付近に手ごろなマンションを購入し、そこに父母であるAさん、Bさんを住まわせる計画を立てています。その際のマンション購入費用は、Aさんが所有する広島の不動産(以下、「実家不動産」といいます。)を売却した費用で賄いたいと考えており、AさんとBさんも納得しています。
もっとも、実家不動産の売却にあたっては、買主を探すところから始める必要があるので、売買契約を締結するまでの間に、Aさんが認知症等になって、実家不動産の売却ができなくなってしまうのではないかとの不安を抱いています。
Aさんが認知症対策などを何も行わなかった場合、以下の2つのリスクが考えられます。
不動産の売買契約は、法律行為ですが、法律行為をするためには、判断能力が必要です。この判断能力のことを、「意思能力」といいます。
Aさんの実家不動産の売買の交渉中に、Aさんが認知症になり、意思能力を欠く状態になってしまった場合、その時点で交渉は中断せざるを得ず、スムーズな実家不動産の売却ができなくなってしまいます。
このような場合、Aさんは一人で不動産売買契約を結ぶことが出来ませんので、成年後見制度を利用しなければなりません。
成年後見人は自動的に選ばれる訳ではなく、原則として四親等内の親族が家庭裁判所に申立てを行う必要があります。そして、家庭裁判所で概ね2、3か月ほどの審理を経て、成年後見人が選任されますが、成年後見人が選任されるまでの間は、実家不動産の売買のための交渉ができません。
また、実家不動産の売却は、Aさんの生活に大きな影響を及ぼしますので、成年後見人が、Aさんの代理人として実家不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要になります。
このように、Aさんが何の準備もしていなかった場合、実家不動産を売却するために、多大な時間と手間がかかってしまいます。
実家不動産の売却交渉中にAさんが亡くなってしまったら、その時点で、交渉は中断せざるを得なくなります。
そして、Aさん名義の実家不動産を売却するためには、Aさんの相続人間で遺産分割協議を行い、相続登記をしなければなりません。
また、もし、遺産分割協議時に、妻であるBさんが既に認知症になってしまっていた場合、遺産分割協議の前提として、Bさんのために成年後見制度を利用しなければならなくなります。
民事信託とは、資産を持っている人(委託者)が、信頼できる相手(受託者)に対し、資産を移転し、その受託者が特定の人(受益者)の為に、その資産(信託財産)を管理・運用・処分することをいいます。
上の図では、Aさんを委託者兼受益者、Cさんを受託者、実家不動産を信託財産とする信託契約を締結しています。契約の当事者はAさんとCさんです。
なお、この信託契約も法律行為ですので、Aさんが認知症等により、意思能力を欠く状態になる前に契約を締結しておく必要があります。
信託契約を締結すると、信託財産である実家不動産の所有権がAさんからCさんに移転します(不動産登記にもその旨の登記を行います)。
そのため、Aさんが認知症になってしまった後も、成年後見人を就任させることなく、Cさんは実家不動産を売却することが可能です。
また、信託財産に組み入れた財産は、本人の相続財産から除かれることになるので、Aさんが亡くなってしまった後も、遺産分割協議を経ることなく、Cさんが実家不動産を売却することが可能です。
信託財産に組み入れた実家不動産を売却した場合、その売却代金も信託財産になります。
そして、その売却代金を利用して購入したマンション一室も信託財産になります。
また、本信託の受益者はAさんなので、Aさんはそのマンション一室に問題なく居住することが出来ます。
この事例では、相続時精算課税制度を利用して、AさんからCさんに実家を生前贈与し、Cさんが自らの財産として実家を売却するという方法も考えられます。
この方法を採用した場合でも、実家不動産の名義は直ちにAさんからCさんに移転するため、Aさんの認知症リスクや、相続・遺産分割リスクを回避することが可能です。
しかし、民事信託を採用した場合に比べ余分なコストがかかってしまいます。
また、万一、Aさんよりも先にCさんが亡くなってしまった場合、この実家不動産をCさんの妻子が相続してしまうため、手続きが複雑になってしまいます。
今回紹介したケースは不動産信託の基本的な利用方法ですが、民事信託を活用すれば、生前贈与よりも税金を安く抑えながら、不要になった不動産を売却し、新たな不動産を購入することが可能です。
当事務所では民事信託に精通した弁護士が、依頼者様の不動産の「管理」「活用」「売却」「承継」を思い通りにできる信託設定をご提案させていただきます。
初回相談は無料となっておりますので、所有されている不動産についてお悩みの方はぜひご相談ください。
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