コラム

2023/06/08

第2種動物登録業について

 第一種動物取扱業者については以前のコラムで解説いたしましたが、営利性をもたない動物愛護団体等についても、都道府県等はその状況ついて把握し、指導を行う必要があります。

 本コラムでは、第二種動物取扱業者について解説いたします。

第二種類動物取扱業者

 第二種動物取扱業者とは、動物の取り扱いのうち、

  • 営利性を持たず
  • 飼養施設を設置し
  • 一定頭数以上の動物の取り扱いを生業として行う者

のことを言います。(動物愛護法24条の2の2)

飼養施設

 飼養施設は、人の居住する部分と区別できる施設でなければなりません。(動物愛護法施行規則10条の5第1項)

 なお、一時的に委託を受けて動物を飼養・保管する場合の施設は、この飼養施設には当たりません。

 専用の飼養施設を有する場合に限らず、飼養のための部屋を設けたり、ケージなどによって飼養場所が区別されていたりする場合も、人の居住する部分と区別できる施設を有しているといえます。

動物の取扱業を行おうとする者

 動物の取り扱いを行おうとする者とは、社会性をもって、一定以上の頻度または取扱量で事業を行おうとする者です。

 営利を目的とする場合は第一種動物取扱業に該当するため、第二種動物取扱業は非営利目的に限られます。

 動物取扱業は、「譲渡し」、「保管」、「貸出し」、「訓練」、「展示」の業種をいいます。

取り扱う動物が一定数以上であること

 動物愛護法は、届出の必要な第二種動物取扱業の要件の1つに、取り扱う動物の下限を設けています。(施行規則10条の5第2項)

第二種動物取扱業における主な動物種による対象頭数分類(大型、中型、小型の違い)について(例示)

分類主な対象動物
哺乳類3頭以上
大型(頭胴長おおよそ1m以上)及び特定動物
ウシ、シカ、ウマ、ロバ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等
10頭以上
中型(頭胴長おおよそ50cm~1m)
イヌ、ネコ、タヌキ、キツネ、ウサギ等
50頭以上
小型(頭胴長おおよそ50cm以下)
ネズミ、リス等
鳥類3頭以上
大型(全長おおよそ1m以上)及び特定動物
ダチョウ、ツル、クジャク、フラミンゴ、大型猛禽類等
中型(10頭以上)
(全長おおよそ50cm~1m)
アヒル、ニワトリ、ガチョウ、キジ等
小型(50頭以上)
(全長おおよそ50cm以下)
ハト、インコ、オシドリ等
爬虫類3頭以上
特定動物
※爬虫類で3頭以上が対象となるのは特定動物の場合のみ
10頭以上
中型(全長おおよそ50cm以上)
ヘビ(全長おおよそ1m以上)、イグアナ、ウミガメ等
50頭以上
小型(全長おおよそ50cm以下)
ヘビ(全長おおよそ1m以下)、ヤモリ等

※大きさは成体における標準的なサイズから判断する。(出典:環境省 第2種動物取扱業者の規制)

 これより少ない数の動物を取り扱う場合には、届出の必要はありません。

 もっとも、今後下限を超えることが想定される場合には、あらかじめ届け出る必要があります。

届出手続

 第二種動物取扱業を行うものは、飼養施設を設置する場所ごとに、その所在地の都道府県知事等に届け出なければなりません。(動物愛護法24条の2の2)

 第一種動物取扱業者が登録制であるのに対し、第二種動物取扱業者は届出制となっています。

届出をせず又は虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金に処せられます(動物愛護法47条1号)。

⑴当初手続

 届出の手続きとしては、届出書に必要な事項を記入して、添付書類と一緒に都道府県知事等に提出します。(動物愛護法24条の2の2、同施行規則10条の6第4項)

 届出書に記載する事項は、下記となります。

  1. 個人の場合は氏名・住所、法人の場合は名称・住所・代表者の氏名
  2. 飼養施設の所在地
  3. 行おうとする第二種動物取扱業の種別、その種別に応じた事業の内容・実施の方法
  4. 主として取り扱う動物の種類・数
  5. 飼養施設の構造・規模
  6. 飼養施設の管理方法
  7. 事業の開始年月日
  8. 飼養施設の土地・建物についての事業の実施に必要な権原を有する事実

 届出書:「第二種動物取扱業届出書(様式第11の4)」

  届出書に添付する資料には、ケージや給水設備等の配置を明らかにした使用施設の平面図、飼養施設付近の見取り図、また法人の場合は登記事項証明書があります。(動物愛護法24条の2の2、同施行規則10条の6第2項)

⑵変更の届出

 第二種動物取扱業者は、届出書の①~②に変更があった場合、届出をした飼養施設の使用を廃止した場合、変更の日から30日以内に、都道府県知事等に変更の届出をしなければなりません。(動物愛護法24条の3第2項)

 ①~②変更の書式:「第二種動物取扱業変更届出書(様式第11の6)」

 飼養施設廃止の書式:飼養施設廃止届出書(様式第11の7)

 また、届出書の③~⑧の事項の変更をしようとする場合には、事前に都道府県知事等に届出なければなりません。

 書式:「第二種動物取扱業変更届出書(様式第11の5)」

⑶廃業などの届出

 第二種動物取扱業者に以下の事由が生じた場合、その日から30日以内に、届出者として定められている人が、そのことを都道府県知事等に届け出る必要があります

  1. 死亡した場合 【届出人:相続人】
  2. 法人が合併により消滅した場合 【届出人:法人の代表者であったもの】
  3. 法人が破産手続開始の決定により解散した場合 【届出人:破産管財人】
  4. 法人が合併・破産手続開始決定以外の理由により解散した場合 【届出人:清算人】

書式:廃業等届出書(様式11の8)

第二種動物取扱業者の義務

⑴適正飼養義務

 第二種動物取扱業者は、その取り扱う動物の管理方法などについて、基準を守らなければなりません。(動物愛護法24条の4、21条1項、同施行規則10条の9)

⑵条例順守義務

都道府県等が、動物の健康・安全の保持とともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その自然的・社会的な条件から判断して必要があると認めるときは、条例で、動物の管理の方法を定めることがあり、第二種動物取扱業者は、この条例を守らなければなりません。(動物愛護法24条の4、21条4項)

⑶義務違反の場合

 第二種動物取扱業者が適正飼養の義務に違反している場合、都道府県知事等は、期限を定めて、動物の管理方法を改善するように勧告することができます。(動物愛護法24条の4、23条1項)

 この勧告に従わない場合には、当道府県知事等は、期限を定めて、勧告に従うように命令することができます。(動物愛護法24条の4、23条3項)

 この命令にも従わない場合には、違反者や法人は30万円以下の罰金に処せられます。(動物愛護法47条4号、48条2号)

弁護士 石堂 一仁

所属
大阪弁護士会
大阪弁護士会 財務委員会 (平成29年度~令和5年度副委員長)
大阪弁護士会 司法委員会(23条小委員会)
近畿弁護士会連合会 税務委員会 (平成31年度~令和5年度副委員長、令和6年度~委員長)
租税訴訟学会

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