マッチングアプリでのトラブル ~金銭の交付を求められるケース~
マッチングアプリによるトラブルの増加
近頃、マッチングアプリに関するトラブルが増えています。
例えば、マッチングアプリで意気投合し、何度かデートを重ねたところで、お金を貸して欲しいなどと、金銭の交付を求められるケースが考えられます。
場合によっては、数百万円から一千万円を超える被害に遭う方もいます。
金銭の交付を求められる場合
金銭交付の求め方の例として、以下のようなものが考えられます。
- 働いていた会社が倒産してしまって今月の給料が振り込まれてこない。絶対に返すのでお金を貸して欲しい。
- 親が入院しており、実家にお金を送金しないといけない。加入していた保険の支払があればお金は返すことができるので、それまでの間お金を貸して欲しい。
- 自分が経営している会社で従業員が金を横領した。すぐに補填しないと取引先とトラブルになってしまう。必ず返すので少しだけお金を貸して欲しい。
- トラブルでクレジットカードがストップしてしまった。明日には復旧できると聞いているので、一日だけお金を貸して欲しい。
- 今購入すれば、必ず儲けることができるFXや有価証券取引がある。絶対に損はさせないからお金を出資して欲しい。
- 高級な時計やバックをプレゼントしてくれる人とお付き合いしたい(結婚したい)。
感情に訴えかけるパターン、専門用語を多用するパターン、いわゆる色恋を連想させるパターン等、様々なバリエーションがあります。
相手方が言うこれらの話が真実であり、納得した上でお金を貸したりあげたりすることは自由です。
しかし、相手方の説明が嘘だった場合、それは詐欺である可能性があります。
騙されてお金を渡してしまったら
騙されて相手にお金を交付してしまった場合、お金を取り返す手続きをとることが可能です。
また、場合によっては警察に被害届等を提出し、捜査してもらうことも考えられます。
いずれの方法もとるにしても、騙されてお金を渡してしまったことを裏付ける証拠が重要になります。
証拠を残す
詐欺を働くような人は、証拠を残すことを出来るだけ避けようとします。
そのため、メールやLINEなどの形に残る方法では金銭の要求をしてこないことが多いです。
仮に、メールやLINEなどによって金銭の要求をしてきたとしても、抽象的な内容であって、第三者からは分かりづらいようにすることが多いです。 そのため、ボイスレコーダーやスマートフォンアプリでの会話の録音が非常に重要な証拠になります。金銭の要求が話題に出た場合、すぐにお金を渡してしまうのではなく、一度持ち帰り、冷静になって考えてみてください。
それでも相手にお金を貸そうと思った時は、借用書を作成し、免許証等の身分証の写真を撮影し、その会話を録音しておくことが重要です。
まとめ
以上のような対策を取っていれば、万が一騙された場合でも、民事手続や刑事手続の対応が行いやすいですが、このような事前準備を行える方は少数だと思われます。
しかし、限られた証拠しかない場合であっても、交付したお金の返還請求が認められる場合もあります。マッチングアプリにおける詐欺被害に遭ったとしても、泣き寝入りせずに、まずはご相談ください。
弁護士 白岩 健介
- 所属
- 大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人日本認知症資産相談士協会 代表理事
この弁護士について詳しく見る