コラム

2022/01/31

遺言能力

 遺言能力とは、遺言者が有効な遺言を作成するために必要な能力のことをいいます。具体的には遺言内容及びその法律効果を理解判断する能力を指します。

制限行為能力者の遺言

未成年者

 未成年者のうち、15歳以上で通常の判断能力のある場合は遺言を行うことができます。15歳未満の場合は、遺言を行うことができません。

成年被後見人

 成年被後見人は、事理弁識能力を欠くことから後見開始の審判を受けているため、原則として遺言を行うことはできません。

 例外的に、事理弁識能力を一時回復した時には、医師2人以上の立会いのもとで、その医師らに、遺言を行う成年被後見人が遺言をするときに精神上の障害により事理弁識能力を欠く状態ではなかったことを遺言書に記載して、署名押印してもらうことを条件として、遺言をすることができます。

被保佐人・被補助人

 被保佐人・被補助人は、遺言を行うことができます。

遺言能力の判断要素

 東京地判平成16・7・7は、遺言能力の判断要素について「遺言能力の有無は、遺言の内容、遺言者の年齢、病状を含む心身の状況および健康状態とその推移、発病時と遺言時の時間的間隔、遺言時とその前後の言動および健康状態、日頃の遺言についての意向、遺言者と受遺者の関係、前の遺言の有無、前の遺言を変更する動機。事情の有無等遺言者の状況を総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判定すべきである」と判示しており、遺言能力の有無を検討する際に、参考になります。

小西法律事務所

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