2021/10/18
交通事故の刑事上、行政上の責任
交通事故を起こした加害者は、交通事故被害者に対して民事責任を負うばかりでなく、刑事上、行政上の責任も負うことになります。
刑事責任
刑事責任とは、交通事故を起こした加害者が、罪を犯したとして、懲役刑、禁固刑、罰金刑などに処されることをいいます。
人身事故の場合は、自動車運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪(アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為等、危険な運転であると特に規定されている行為によって、人を負傷、死亡させた場合)に問われることがあります。これらは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に規定されている犯罪です。
また、被害者が死んでしまうかもしれないと思いながら、被害者を引きずったまま逃走したなどの場合には、刑法上の殺人罪に問われることもあります。
また、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律、刑法上の犯罪の他に、救護義務違反や酒酔い運転、無免許運転といった道路交通法違反の罪に問われることもあります。
死亡事故・傷害事故 による刑事責任 |
自動車運転過失致死傷罪 | 自動車の運転により 人を死傷させる行為等の 処罰に関する法律5条 |
7年以下の懲役もしくは 禁錮または 100万円以下の罰金 |
危険運転致死傷罪 | 自動車の運転により 人を死傷させる行為等の 処罰に関する法律2条 |
死亡の場合、 1年以上の有期懲役 |
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傷害の場合、 15年以下の懲役 |
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殺人罪 | 刑法199条 | 死刑または無期もしくは 5年以上の懲役 |
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緊急措置義務違反 (人身事故) |
道路交通法72条1項 同117条1項、2項 |
5年以下の懲役または 50万円以上の罰金 (被害者の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金) |
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その他 道路交通法違反の例 |
緊急措置義務違反 (物損事故) |
道路交通法72条1項 道路交通法117条の5 第1号 |
1年以下の懲役または 10万円以下の罰金 |
過失建造物損壊罪 | 道路交通法116条 | 6か月以下の禁錮または 10万円以下の罰金 |
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酒酔い運転 | 道路交通法117条の2 第1号 |
5年以下の懲役または 100万円以下の罰金 |
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酒気帯び運転 | 道路交通法117条の2の2第3号 | 3年以下の懲役または 50万円以下の罰金 |
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無免許運転 | 道路交通法117条の3の2 第1号 |
2年以下の懲役または 30万円以下の罰金 |
行政上の責任
行政上の責任とは、事故を起こした人が公安委員会から、運転免許の取り消しや停止などの処分を受けることです。これは過去3年間の交通違反などに対して所定の点数を付け、違反点数が一定の基準に達すると処分を行う、点数制に基づいて行われています。
小西法律事務所