遺言とは
遺言とは、遺言者の死亡の時に効力を生じさせる意思表示のことをいいます。
この意思表示を記載した書面を、「遺言書」といいます。
「遺言」は、一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律の世界では「いごん」と読みます。
遺言の作成について
遺言の効力を発生させるためには、遺言を作成する際に定められた形式に従って作成する必要があります。なぜなら、遺言は、遺言者本人が死亡したのちに初めて効力が生じるからです。もし遺言書に不明瞭な内容があった場合でも、本人に遺言書の作成経緯や、記載内容の意味を確認することもできません。
そのため、遺言者の真意を明確に表し、遺言者の死後、相続における争いの発生を防止するために、遺言は一定の形式に従って作成する必要があるのです。
この一定の形式に違反して作成した遺言書の効力は無効となります。
なお、令和元年7月に施行された改正相続法では、自筆証書遺言の方式が緩和されています。
指定相続分と法定相続分
「指定相続分」とは、遺言による相続分の指定により定められたそれぞれの相続人の相続分です。
「法定相続分」とは、相続分を指定する遺言がない場合に、民法の規定により定められる相続分です。
遺言の方式
遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。一般的には、遺言は普通方式によって作成されます。
普通方式の遺言
普通方式の遺言には、下記の3種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
特別方式の遺言
特別方式には、下記の2種類があり、さらにそれぞれ2種類の方式があります。
危急時遺言
- 死亡危急者遺言
- 船舶遭難者遺言
隔絶地遺言
- 伝染病隔離者遺言
- 在船者遺言
それぞれの遺言の詳細については、別途解説いたします。
共同遺言の禁止
共同遺言とは、2人以上の者が、同一の遺言書で遺言を行うこといいます。共同遺言は民法により禁止されていますので、この場合、遺言の効力は無効となります。
禁止の理由
遺言は、各人の自由な意思に基づいて作成されるものです。しかし、共同遺言にしてしまうと、それぞれが自由な意思で遺言を作成しにくくなる可能性があるためです。
また、遺言は本人の最終意思を尊重するため、いつでも撤回できることになっています。しかし、共同して遺言した場合、どちらか一方が遺言を書き直したいと思っても、自由に書き直せない場合があります。必要なときに自由に撤回ができるように、作成も1人で行う必要があるのです。
共同遺言の判断方法
遺言書の外観上、1つの遺言書に複数の遺言者の氏名や遺言内容があれば、常に共同遺言として無効となるわけではありません。
同一の用紙に記載されていても、切り離せば数通の独立した遺言書となるものは、共同遺言には該当しません。
1つの封筒に独立した数通の遺言書が入れられている場合も共同遺言に該当しないと考えられています。
小西法律事務所