コラム

2021/07/01

成年後見制度とは⑦ ~後見等の申立てから開始まで~

 今回のコラムでは、成年後見を申立ててから開始されるまでについてご説明いたします。

 なお、大阪家庭裁判所に申立てる場合を前提としておりますので、管轄が大阪家庭裁判所と異なる場合は、管轄の家庭裁判所にお尋ねください。

申立てから開始までの期間について

 すべての書類が整い、医師による鑑定や調査官による調査等の手続がスムーズに進行すれば、申立てから2か月以内で、審判が出されるようになっています。

 上記手続きを迅速に行うためには、まずは、手続に必要な書類(戸籍謄本、成年後見に関する登記事項証明書等)を遺漏なくそろえて、提出することです。

 裁判所によっては、申立事情説明書等、定型の書式を準備しているところもありますので、事前に申立予定の家庭裁判所に問い合わせをし、必要書類、書式を確認しておくことが大事です。

医師の鑑定

 後見および保佐申立てでは、原則として医師による鑑定が必要です。

 鑑定をしてくれる医師が決まっていないと、選任のために、一定の期間が必要となります。家庭裁判所に選任を委ねることもできますが、裁判所が医師を探すのは結構な時聞がかかる場合もあります。かかりつけ医がいればその医師に、いなければ、ケアマネージャーや入所施設に相談する等して、あらかじめ鑑定をしてくれる医師を決めておいたほうが、手続は迅速に進行します。なお、診断書等の記載から、明らかに後見相当と判断されるケースでは、鑑定が省略されるようになってきました。したがって、家裁所定の診断書を用い、申立書には本人の状況をある程度詳しく書くことも必要です。

調査官の調査

 申立後、審判までの間には、原則として調査官による調査があります。

 本人や後見人候補者と面会して、本人の状態や意思を確認します。本人が家庭裁判所まで出向くことができれば、調査官と日程調整のうえ、連れて行ったり、それが困難な場合は、入所施設に調査官に出向いてもらったりする等、調査がスムーズに進むよう配慮すべきです。少なくとも候補者には必ず同行してもらうことが必要です。

 ほかには、推定相続人の意向調査(調査官から書面により、後見申立てがあったことを知っているか、後見人候補者についての意見等を聴くもの。推定相続人間に争いがあるか否か等、事案を把握し、適切な後見人を選任するために必要な資料を集めるためのもので推定相続人の意向に拘束されるわけではありません。)が行われることが多いので、推定相続人の住所も調査しておく必要があります。

小西法律事務所

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