成年後見制度とは⑥ ~後見等申立手続きについて~
今回のコラムでは、成年後見を申立てる際の手続きについてご説明いたします。
なお、大阪家庭裁判所に申立てる場合を前提としておりますので、管轄が大阪家庭裁判所と異なる場合は、管轄の家庭裁判所にお尋ねください。
目 次 [close]
申立てに必要な書類
申立人についての資料
戸籍謄本(全部事項証明)(本人と同じ戸籍であれば不要)
外国籍の方の場合は住民票(国籍表示のあるもの、個人番号(マイナンバー)表示のないもの)
本人についての資料
- 戸籍謄本(全部事項証明)(本人と同じ戸籍であれば不要)
- 住民票(外国籍の方の場合は国籍表示のあるもの)又は戸籍附票
- 登記されていないことの証明書(後見登記等ファイルに記録されていないことを証明するもので、全国の法務局・地方法務局の窓口か東京法務局宛の郵送手続きで取得します。)
- 診断書
- 鑑定についてのおたずね
本人の財産や収支、健康状態に関する資料について
- 不動産に関する資料
登記事項証明書(登記簿謄本) - 預貯金・株等に関する資料
通帳、証書、株式・投信の残高証明書等 - 生命保険等に関する資料
保険証券等 - 負債に関する資料
住宅ローンの償還表、金銭消費貸借契約書等 - 収入に関する資料
年金額改定通知書、振込通知書等
不動産収入がある場合は、確定申告書、収支内訳書控え
給与明細書等 - 支出に関する資料
医療費、施設費領収書介護保険料通知書、国民健康保険料通知書、住民税・固定資産税の納税通知書などの公租公課の資料
家賃のわかる資料(領収証、賃貸借契約書等) - 健康状態に関する資料
療育手帳、精神障害者手帳、身体障害者手帳、要介護度がわかるもの等
成年後見人等候補者についての資料について
親族関係の資料について
意見書
後見等申立ての費用について
法定後見制度を利用する場合の費用には、法定後見開始の申立てや審判手続に要する費用および法定後見開始後の後見人等に支払うべき報酬と事務経費があります。
申立てや審判等に要する費用は手続費用と手続費用以外の申立関係費用(調査費用や診断書作成料)とに分けられ、手続費用には、裁判所に納める費用と裁判外費用(当事者費用)とがあります(民事訴訟費用等に関する法律)。裁判外費用は、申立書の作成費用、裁判所への出頭費用等、当事者が手続をとるために直接支出した費用です。
申立てにかかる費用は申立人が負担するのが原則となります(家事事件手続法28条1項)。1件につき申立書に貼付する収入印紙800円(なお、保佐・補助開始事件に付随して代理権付与や同意権取消権付与などを申し立てる場合には、事件ごとに収入印紙800円分)、登記用の収入印紙2600円、郵便切手3990円分(大阪家庭裁判所の場合です。家庭裁判所ごとに券種と枚数が決まっています。大阪家庭裁判所の場合、500円×2枚、100円×15枚、84円×10枚、63円×5枚、20円×10枚、10円×10枚、5円×5枚、1円×10枚です。保佐・補助開始審判の場合はさらに500円×2枚)を購入しておきます。これらは裁判所庁舎内の売店で購入できる場合もあります。ただし、本人に正式に鑑定が必要な場合には、鑑定費用の予納が別途必要となります。金額は場合によって違いますが、おおむね10万円程度を用意しておきます。予納の時期は、家庭裁判所によって申立時か申立後か取扱いが異なっていますので、申立てをする裁判所に確認することが必要です。
小西法律事務所