コラム

2021/05/17

無期転換ルールとは

 労働契約法18条には、同一の使用者との間で、有期労働契約が繰り返し更新されて、通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換することが定められています(これを「無期転換ルール」といいます。)。

 そして、この申込みができる労働者の権利を、「無期転換申込権」といいます。

 労働者が無期転換の申込みをすると、使用者がその申込みを承諾したものとみなされ、その時点で無期労働契約が成立します。そして、申込時の有期労働契約の終了日の翌日から、無期労働契約に転換されます。

 なお、有期労働契約が通算5年を超えたとしても、労働者が申込みをしなければ、自動的に無期労働契約に転換することはありません。

 また、通算5年を超えて契約更新した労働者が、その契約期間中に無期転換の申込みをしなかったときは、次の更新以降でも無期転換の申込みをすることができます。

無期転換ルールの対象となる労働者

 無期転換ルールの対象となる労働者は、原則として有期労働契約が通算5年を超えるすべての労働者です。

 そのため、パートやアルバイトなどの名称であったとしても、無期転換ルールの対象となります。

通算契約期間の算定の対象となる有期労働契約

 通算契約期間は、平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約から算定されます。

 そのため、平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含まれないため注意が必要です。

無期転換後の労働条件

 無期転換した後の給与等の労働条件は、労働協約や就業規則等で別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一の条件となります。

無期転換の申込みの方法

 無期転換の申込みは、口頭で行ったとしても有効です。

 もっとも、後日トラブルになることを避けるためにも、無期転換の申込みをする際は、書面で行った上、記録を残しておくことをおすすめします。

弁護士 岡田 美彩

所属
大阪弁護士会

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