不貞行為による慰謝料請求の基礎知識 ~その2~
慰謝料請求の基本的な流れについて
不倫をした配偶者に慰謝料を請求したい、あるいは、配偶者の不倫相手に対して慰謝料を請求したいと考えた場合、以下のような手続きをとることが一般的です。
交渉
交渉とは、慰謝料を請求する相手方(配偶者ないし不倫相手)との間で、話し合いによる解決を目指す手続です。
交渉の中で、相手方と、慰謝料の額、支払方法等について折り合いがつけば、示談書、合意書等の書面を作成し、その合意の内容に従って慰謝料の支払いを受けることになります。
交渉は、裁判所が関与する手続きではないため、紛争について迅速に解決することができるメリットがある一方、強制力のある手続きではないため、当事者間で折り合いがつかない場合に紛争が解決できないとのデメリットがあります。
訴訟
訴訟とは、裁判所を関与させて、その判断を仰ぐことで紛争を強制的に解決する手続です。
相手方がそもそも話合いに応じない、話し合いで折り合いがつかないなど場合の場合であっても、裁判所が判決を出すことになりますので、紛争の終局的解決が可能です。
なお、民事訴訟においては、原告側が主張立証責任を負うことになります。
不貞行為があったとの事実を、慰謝料を請求する側が、証拠で裏付けなければならないのです。
不貞行為の証拠
前回のコラムで、不貞行為は、
①結婚相手以外の人と肉体関係を持つこと
②結婚相手以外の人と肉体関係を持つことに相当する関係を持つこと
と説明しましたが、そもそも、肉体関係は公然ともたれるものではありませんので、肉体関係を持ったことを直接的に立証することは不可能に近いです。
そのため、2人のやり取りの内容や、デートをしている事実、その頻度や時間帯といった様々な事実を積み重ねていき、その結果、「これらのやり取りやデートの事実からすれば、肉体関係があったに違いない」といえれば、不貞行為を立証することも可能です。
そのため、怪しいと思ったやり取りなどは、今後のために証拠として残しておくことが望ましいといえます。
弁護士 田中 彩
- 所属
- 大阪弁護士会
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