不貞行為による慰謝料請求の基礎知識 ~その1~
はじめに
夫あるいは妻の不倫が発覚した場合、どのように対処すべきでしょうか。
テレビの法律番組などを観て、不倫をした夫あるいは妻に慰謝料を請求できる、不倫相手に慰謝料を請求できる、ということを知っている方は多いかと思います。
しかし、「不倫」といっても、人によってイメージはそれぞれです。
このコラムでは、法的な意味での「不倫」とは何か、慰謝料を請求できる場合とはどのような場合か、誰に対して慰謝料を請求できるのか、慰謝料を請求する手続きとはどのようなものか、といったことについて、数回にわたり解説します。
不倫とは
「不倫」はどこからか、というのは人によってそれぞれです。
しかし、法律上、損害賠償責任を負う「不倫」とは、
①結婚相手以外の人と肉体関係を持つこと
②結婚相手以外の人と肉体関係を持つことに相当する関係を持つこと
というように定義されます。
法律では、このように法的な責任を負う「不倫」のことを「不貞行為」といいます。
たとえば、夫あるいは妻が、異性と仲良くメールやLINEのやり取りをしているのを発見した、2人でデートしていることを知ったということだけでは、「不貞行為」には該当せず、損害賠償を請求することはできません。
配偶者または不貞相手に対して法的な責任を問うためには、メール・LINEのやり取りやデートを越えて、2人が肉体関係(または肉体関係を持つことに相当する関係)をもったことが必要となります。
慰謝料の基礎知識
民法上、不法行為によって損害を被った被害者は、加害者に対して、損害賠償を請求することができるとされており(民法709条)、財産以外の損害、たとえば精神的苦痛を被ったことに基づく損害賠償請求をもすることができるとされています(民法710条)。
夫または妻が不貞行為をしていると知れば、当然のことながら、大変な精神的苦痛を受けます。この精神的苦痛を慰謝するに足りる金銭が、慰謝料です。
裁判上、不貞行為に基づく慰謝料の相場は、個別具体的な事情にもよりますが、おおよそ50万円~300万円とされることが多いようです。
弁護士 田中 彩
- 所属
- 大阪弁護士会
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