【相談事例】交際相手が既婚者であることが判明した場合の慰謝料請求
相談の概要
相談者Xは、交際相手Yと約3年間交際していました。交際相手Yは、相談者Xに対し、出会った当初から、自分は独身であると説明しており、相談者Xと交際相手Yは、将来結婚することを前提として同居を開始しました。しかし、同居開始後も、交際相手Yは度々外泊しており、相談者Xが怪しく思って問い詰めたところ、交際相手Yが既婚者であることが判明しました。
もっとも、交際相手Yは、「婚姻届は、自分に無断で提出されたものだ。」「弁護士に相談したところ、婚姻無効の裁判を起こせば、婚姻関係は解消できると説明された。」などと相談者Xに説明してきたため、相談者Xは、交際相手Yの言葉を信じて、その後も交際相手Yとの交際を継続していました。
しかし、その後、交際相手Yは、相談者Xの他にも、女性Aと交際しており、最近、交際相手Yと女性Aが結婚式まで挙げていたことが判明しました。
そこで、相談者Xは、交際相手Yと話し合いがしたいと考えましたが、交際相手Yに連絡が繋がらなかったため、交際相手Yの母親に連絡し、事の経緯を説明しました。
そうしたところ、交際相手Yの母親からは、交際相手Yには、妻Bと、妻Bとの間の子どもCがいることを聞かされました。
その後、ようやく交際相手Yと連絡が繋がり、交際相手Yが、相談者X、女性A、妻Bの3人との間で、三重の生活を送っていたことが判明しました。
相談者Xは、このような交際相手Yを許すことができず、交際相手Yに対して、慰謝料を請求することができないか相談するため、弊所へお越しになられました。
弁護士の回答
交際相手Yは、婚姻しているにもかかわらず、独身と偽り、相談者Xと将来の結婚を約束したうえで、性的な関係伴う交際を約3年間続けていたのですから、交際相手Yの行為は、相談者Xの人格権を侵害しているといえるでしょう。
そのため、相談者Xから交際相手Yに対する不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として、慰謝料を請求することが可能です。
なお、慰謝料請求について交渉で話がまとまらなかった場合、訴訟を提起しなければならない可能性があります。その際、交際相手Yが独身と偽っていたことがわかる証拠が重要となりますので、LINEのメッセージのやり取り等、証拠になるものがあればすべて保存しておくことが大切です。
他方、相談者Xは、交際期間中に、(交際相手Yの説明はともかく)交際相手Yが婚姻していることを認識しています。
さらに、交際相手Yは外泊する日が多かったとのことですので、既婚者である交際相手Yとの交際について、相談者Xにも過失があったと評価される可能性があります。
そのため、もしも交際相手Yの妻Bから不貞行為の慰謝料を請求された場合、相談者Xは、妻Bに慰謝料を支払わなければならない可能性がありますので、この点については注意が必要となります。
弁護士 岡田 美彩
- 所属
- 大阪弁護士会
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